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行商人やキャラバンに憧れたからモロッコでロバと一緒に放浪の旅を始めたバカだけど

1: 1◆jHsnWuH7MU 2016/07/25(月)19:09:31 ID:tPK
まだ移動式住居の生活に慣れるのに精一杯で行商要素全くないんだけど、次の村が見えてきた時の達成感が半端ないwww
期間や距離は未定だけど、とりあえず今はスタート地点のトドラ渓谷から600kmくらい離れた町タンジェを目指して100kmほど移動したところだ。

今回は主に出発までの経緯について書いていこうと思う。

no title



2: 名無しさん@おーぷん 2016/07/25(月)19:11:38 ID:FEl
電波届くのね

10: 1◆jHsnWuH7MU 2016/07/25(月)19:26:19 ID:tPK
>>9
当初の予想をはるかに上回る距離歩けてびっくりしてるw
今んとこ一日最大35km

今回、おれがロバと一緒に旅しようと思ったきっかけは、以前エジプトでラクダの遊牧をしていた時に村でたくさんのロバが荷物を運んでいるのを間近で見たからだ。

大量の荷物、あるいは2、3人の人を乗せた荷車を引いてのんびりと歩くロバの姿は当時のおれにはとてもかっこよく見えた。
実際、ロバは牽引力に関しては馬にも引けを取らず、粗食にも耐え、一日に必要とする水分の量も少ないことから輓獣(何かを牽引するために用いられる動物のこと)としては古くから人々に重宝されてきた。

なので、いつかどこかの国で、寝泊まり可能な大きさの荷車をロバに引いてもらいながら旅をして、
余裕があれば行商のようなこともしてみたいと考えていた。(これはあくまでおまけ要素なので大きな利益をあげる必要はなくて、最高到達点はロバと自分の日々の食べ物を賄える程度だ。(一日に200円とか300円とかその程度の利益が出れば十分))

そして、どの国ならこの冒険が実現可能か検討したときに、モロッコならできるんじゃないかと考えた。
都会すぎる国だとロバの入手が難しかったり、法律的な問題や人の多さによる問題があったりするし、田舎すぎる国だと治安的な問題が生じてしまうんだけど、モロッコはその中間に位置していて、この冒険が実行しやすい国に思えた。
というわけでまずはおおまかな情報収集をするために、景色がきれいだというだけの理由でフィーリングで選んだ村、トドラ渓谷のティズギ村でしばらく暮らすことにした。
もしここでロバを手に入れることが難しかった場合はほかの村に移動して再度情報収集をする予定だ。

11: 名無しさん@おーぷん 2016/07/25(月)19:30:13 ID:y0c
ワイもやりたい

14: 1◆jHsnWuH7MU 2016/07/25(月)20:07:47 ID:tPK
>>11
モロッコに来てからかかった準備費用は、ロバ代や滞在費含めて総額5万円くらいだったから結構手軽にできると思うw

15: 1◆jHsnWuH7MU 2016/07/25(月)20:08:09 ID:tPK
つづき
滞在してわかったことだが、ティズギ村には何頭かロバがいた。
そして、ティズギ村の近くの町、ティネリールでは週に1回アニマルマーケットが開かれることもあり、ロバがたくさんいたため、この村で情報収集をしてロバを購入することに決定した。

結果、情報収集のおかげでロバの情報が続々と集まってきた。
今回購入を検討したロバは全部で5頭だ。
性別は、気性が荒いというリスクはあるが、相棒としてオスと旅したかったので候補に挙げているのは全てオスのロバだ。
1DH=だいたい10円

1頭目
 若く、かなり大きい。普段はおとなしいがとても臆病で、棒を見せるとそれだけで暴れる。右耳が欠けていてよく見ると全身に傷があり、鼻にも目立つ傷がある。舌を鳴らす音に対しても不安そうにする。虐待に近いことをされていた可能性が高い。
ティズギ村のロバ。
値段交渉の開始価格1900DH

2頭目
 体は大きめ。つながれている時に必死に逃げ出そうと暴れていたため、かなり気性は荒いようだ。
ティネリールのロバ。
値段交渉の開始価格1700DH

3頭目
 小柄。かなりおとなしく、知らない人間が乗った場合でもおとなしく従順だ。足から少し血が出ていた。馬力も十分なようであったのが、長期の旅でどのようになるか、少し不安が残る。
ティネリールのロバ。
値段交渉の開始価格1000DH

4頭目
 3頭目よりは少し大きいが小柄。おとなしく、いうことをよく聞き、人が乗っても嫌がらない。
馬力は十分。
モロッコではロバに名前を付ける習慣はないが、このロバには「ブライト」という名前がついており、飼い主からかなり愛されているようであった。
ティズギ村のロバ。
値段交渉の開始価格 1000DH

5頭目
1頭目ほどではないがかなり大きい体を持つ。おとなしくて馬力もあるが、歩き方がほんの少し不自然であったため、長距離を歩けない可能性がある。
ティズギ村のロバ。
値段交渉の開始価格3500DH
ちなみにあまりにもふざけた開始価格であったため、「どのロバを買うかを今夜決めるから最低でも1700DH辺りまで下げてくれないと候補に入らない」と強く主張した結果2200DHまで値段が落ちた。


※おれが滞在している宿のあるティズギ村のロバを買った場合、そのまま出発直前まで元の飼い主に預かってもらえば出発までの間に調教がしやすいというメリットがある。
ティネリールのロバを買うと、ティズギ村にロバを置く場所がないため、ティネリールまで通わなければならず、出発までにロバとのコミュニケーションが十分に取れない可能性がある。

2頭目以外のロバは動かしてみたが、少なくとも短い距離であれば皆おれに従ってくれた。
動物を扱うのにはある種才能や経験が必要で、ふつう外国人はみなロバをほとんど動かせないと、何人もの現地人が驚いていた。
たぶんラクダの遊牧の経験が活かせているんだと思う。

お前らならどのロバにする?

写真はさっきあげ忘れたトドラ渓谷
no title

16: 1◆jHsnWuH7MU 2016/07/26(火)02:46:33 ID:KT4
この条件だと、今回の冒険を確実に達成するには、4頭目が最適だったんだと思う。

でも、ブライトにはもうすでに素敵な飼い主がいたから、わざわざ引き離しておれの冒険に付き合わせるのはかわいそうに感じた。
それに、将来複数のラクダを操ってサハラ砂漠を横断したり、犬ぞりで南極を横断したりしたいと考えているおれとしては、
おとなしく従順なロバと旅するよりも扱いにくいロバと旅して動物を扱うことに関して少しでも経験値を得るほうが今後の冒険に繋がるだろうと考えた。

結果、おれは1頭目のロバを買うことに決めた。
このロバは候補のロバの中で最も体が大きく、若かったため、もしうまく扱えれば一日にかなり長い距離を歩くことができるだろうと考えたことも理由の一つだ。

ちなみに値段交渉の結果、200DH値下げされたから、このロバの最終価格は1700DHだった。
値段的には相場よりも少し高いぐらいだったけど、今回はロバを2頭買うことも視野に入れていて、ロバ購入に対する予算は4000DHだったから予算的にはむしろ余裕ができたくらいだった。

次の日から、散歩による調教が始まる。

no title

17: 名無しさん@おーぷん 2016/07/26(火)03:05:24 ID:xJx
日本でもちょっと山に行くと圏外なのに外国は整備されてるんだな

19: 1◆jHsnWuH7MU 2016/07/26(火)03:58:55 ID:KT4
>>17
そうそう、あとは日本よりビルも険しい山も少なくてだだっ広い場所が多いから電波が届きやすいって理由もあると思う。

18: 名無しさん@おーぷん 2016/07/26(火)03:08:45 ID:xJx
アラビア語話せるの??

19: 1◆jHsnWuH7MU 2016/07/26(火)03:58:55 ID:KT4
>>18
エジプトで1ヶ月弱ラクダの遊牧を手伝ってたことがあるんだけど、その時の村では英語はほぼ通じなかったからそこで覚えた
正則アラビア語の文法はエジプト行く前から勉強してたからそれなりに話せる
ただ、同じアラビア語といってもモロッコでは全然違う言語が使われているから、モロッコ語はアラビア語と共通の、本当に基本的なことしか話せない。

でもモロッコでは田舎でもフランス語が話せれば全く問題ないから大丈夫。
唯一山の中で暮らしてる遊牧民の人たちだけは、ベルベル語という言語しか話せない上に、山ごとに文法が違うとかそういうレベルだから、
旅の途中で山を越えてる時なんかに出会ってお茶をごちそうしてもらったりするけど、全く意思疎通できないwww


つづき
朝10時ごろ、散歩をさせるためにロバに会いに行く。

とりあえず警告を少し歩かせてみて様子を見るつもりだ。

元飼い主は購入後に関しては協力的ではなかったし、モロッコの一般的な考え方として、ロバは「道具」で、痛い目に合わせようが何をしようが言うことを聞かせられればそれでいいという考え方があるため、調教はほとんど一人でやることにした。

なので、使える経験としてエジプトでラクダを遊牧していた時のことを思い出してみる。
おれが遊牧を手伝っていたラクダに関していえば直接叩いたりあてたりしなくても、集中力が切れていたり興奮しているラクダを誘導する為には棒や石などでラクダの気を引くことは重要だった。
ただ、このロバは棒を怖がるし逆効果かもしれないな、と考えていると、元飼い主やわらかいゴム製の棒を差し出してきた。

うん、これなら痛くないから怖くないだろう。

よし、ラクダの時みたいに斜め後ろあたりから優しく追い立てる感じで…

と、その瞬間、ロバがいきなり体をひねり、それと同時におれの膝のあたりに立て続けに二度、痛みが走る。

蹴られた。
ロバは馬よりも体は小さいため、そこまで深刻なダメージではなかったが、とにかくこいつに対して棒を使うべきではないらしい。
そして、おれを蹴った後も怒りが収まらないようで、大きな声で鳴き、おれを威嚇する。
鼻息荒く、低い声で唸りながら、じりじりとおれににじり寄ってくる。

うん、怖いw

でも、ここで引いたら動物に認めてもらえなくなることは知っていたので、おれは一歩も引かず、毅然とした態度で、そっちじゃない、こっちだ、と手綱を引き、ひとまず近くの柱に結び付ける。

しばらくすると気がすんだのか、おとなしくなり、柱の縄をほどいても暴れず、のそのそとおれについてくるようになった。

no title

25: サテンドール◆s0.5DG7lIsK8 2016/07/26(火)05:09:48 ID:qWX
俺なら1のロバを選ぶかなと思ったら、1のロバで何故か安心した
しかしこの行動力と実行力は尊敬に値するな

26: 1◆jHsnWuH7MU 2016/07/26(火)06:04:09 ID:KT4
>>25
このロバの気性が荒いのは、彼自身の性格の問題なのかもしれないけど、人間たちが虐待とかをしてたからこんな性格になった可能性も考えられるから、
このロバには幸せになってほしいと思ってる。
実際、旅に出てからはかなりおとなしくなったからやっぱり環境的な要因が大きかったんじゃないかと思ってる。


つづき
ロバと一緒に歩いていると、現地の若者数人が近づいてきた。

若者「おい、日本人!
(狭い村なので、「日本人がロバを買いたくて情報収集している」という情報は村人のほとんどが知っていたようだ。
だから、結託して値上げされた場合でも対応できるようにティネリールのロバの情報も集めてた。)
そのロバ買ったのか?どれ、おれが扱い方教えてやるよ!」
おれ「いや、こいつ攻撃的だから危ないんだって!棒使ったら怖がるからやめてくれ!」
若者「大丈夫だって!ほら、こうやって…」

その瞬間、何度も繰り返してやり慣れているとしか思えないほど鮮やかかつなめらかに、ロバは体を回転させ、若者に向かって蹴りを放つ。

ロバの蹴りは若者の下腹部にクリーンヒットし、若者はよろめいた。
とりまきの若者たちは笑っていたが、蹴られた当人は怒っていた。

若者「なっなんだこいつ!ふざけんな!!」
おれ「だから駄目なんだって!これ以上こいつを刺激しないでくれ!」

27: 1◆jHsnWuH7MU 2016/07/26(火)07:27:25 ID:KT4
その後、その若者たちを振り切って歩いていると、おっさんが話しかけてきた。

おっさん「おぉ、そのロバどうしたんだ?どれ、おれがロバの扱い方を…」
おれ「あ ぶ な い か ら 、さ が っ て!」
おっさん「何言ってるんだよ、ただのロバじゃないか、こんなやつ…」

おっさんがロバに近づいたその瞬間、またしてもロバは蹴りを放った。


そしてその後、「危険だ」と説明するも、いうことを聞かずに追い立てようとしたりおれから手綱を奪ったりした現地人を2人ほど蹴り飛ばす。

どうやらこのロバは極度に繊細で、からかおうとしてくる人間や怒っている人間を敏感に感じ取って攻撃しているようだ。

この出来事があるまでは「右耳が欠けていて三日月みたいだからモロッコ語で三日月という意味の『アイユール』君なんてどうだろうか」なんて考えていたが、この出来事によってこのロバの名前は決定した。
「反骨精神のある」や「たくましい」という意味を持つモロッコ語の単語「モカウィム」から、『モカ』君で決定だ。

no title

30: 名無しさん@おーぷん 2016/07/26(火)10:30:19 ID:qWX
>>27
モカって意味も知らずに聞いたら座敷犬みたいじゃねーかwww
アイユールが素敵だったのに

34: 1◆jHsnWuH7MU 2016/07/26(火)16:40:26 ID:KT4
>>30
www
アイユールも捨てがたかったんだけどねw

33: 名無しさん@おーぷん 2016/07/26(火)15:40:03 ID:AwD
なんか心当たりあると思ったらやっぱりまたお前か

前回の旅で死にかけたとは言ってたが懲りないやつだwww

34: 1◆jHsnWuH7MU 2016/07/26(火)16:40:26 ID:KT4
>>33
ラクダスレ見てたのかな?
まとめには載ってないけど、実はあの後カメルーンの森の中でピグミー族と一緒に自給自足生活したりもしてたw
懲りるとか脳内辞書に載ってないwww


つづき
動物に対して、舌を鳴して「進め、こっちに来い」という指示はエジプトでもモロッコでも共通だったんだけど、その音を聞くとモカはその音を警戒して不安そうにした。
たぶん、今までのいやな思い出を思い出すんじゃないかと思ったから、今回そのやり方は使わないことにした。

怖い思い出や不安なイメージを少しでも払拭するべく、モカを動かす際の掛け声は、ラクダを遊牧していたころ、ラクダ飼いのサリーマンという男が使っていたもう一つの「進め」の言い方、「ホップホップホップホップ」を使うことにした。

その日はモカと一緒に1kmほど歩くことができた。

そしてその夜、出発までの短い期間でモカと少しでも仲良くなる為に何ができるかを一晩考えた結果、ジャガイモの皮やスイカの皮などの食べ物をモカにやり始めることにした。
スイカの皮やジャガイモは特に好物のようだ。パンの切れ端もやろうとしたが、あまり好みではなかったらしい。
ニンジンが好きだと現地人はいうが、ラマダン(イスラム教徒の断食期間。この時期は普段手に入るものでも入手が難しいことが多い。)明けであったため食料品の供給はほとんど停止しており、手に入らなかった。

37: 名無しさん@おーぷん 2016/07/26(火)17:15:13 ID:gW7
すげえワルザザート行ってみたい

40: 1◆jHsnWuH7MU 2016/07/26(火)23:23:11 ID:KT4
>>37
ワルザザートはおれは通過しただけだけど、モロッコってほんとに見所がいっぱいあるよな!

39: 名無しさん@おーぷん 2016/07/26(火)21:31:59 ID:EBU
また君かね
期待

40: 1◆jHsnWuH7MU 2016/07/26(火)23:23:11 ID:KT4
>>39
今回は今までと違って現在進行形だけど更新頑張る!


つづき
さて、次の日、モカを散歩に連れ出す際に元飼い主と揉め事になった。
元飼い主が酔った勢いで、「今すぐ金をよこせ。そうしないとロバを取り上げる。」といきなり言い出したのだ。
金銭の支払い時期は今日か明日、ATMのある町まで行ってからでいいという話になっていたし、出発までの期間の散歩はモカを購入した際の約束に含まれていた。

飼い主の妹曰く、「今渡すと飲みに出かけて使うだけだから渡さないで。あのロバは家族みんなで出資して購入したロバだからそんなことにお金を使わせたくない」とのことだ。

結局、妹さんがうまくなだめてくれているすきに散歩に出発したんだけど、モカも空気読んだらしく、おれのペースに合わせて走り出した。

この時初めて気づいたが、走るとモカは興奮し、今にも蹴りだしそうな雰囲気になるようだ。
そして、その日の散歩で、一定の条件を満たすとモカは興奮するということが分かった。
その条件は大まかに以下の通りだ。

・走っている時
・疲れがたまってきた時
・大きな音を聞いた時
・他のロバや馬に会った時。特にメス馬がいたときは少しでもメス馬に近づこうと必死になり、しばらくの間全く制御できなくなるw

興奮すると制御するのに神経を使うせいでかなりおれが疲れる。
まず、おれよりも少し速いペースで歩き出し、おれを追い抜きそうになる。
追い抜かされると制御できなくなるので、いったん止まらせるが、止まらせるとおれを威嚇し、鼻息を荒くしながらじりじりとおれに近寄ってくる。
あまりに距離が近すぎると危険なので、ある程度まで近づいてきた時点でまた「進め」の命令を出し、歩かせる。
そしてまた追い抜かされそうになってきたらまた「止まれ」の命令を出す…といった感じで何度かこれを繰り返せば興奮はおさまるようだが、かなり集中してタイミングを見計らって指示を出さなければならない。

この日は昨日よりも長く、2kmほど歩いたが、その間モカは7回ほど興奮したため、かなり疲れた。

42: 名無しさん@おーぷん 2016/07/27(水)02:28:19 ID:Nyz
何が?
画像も無いじゃん

43: 1◆jHsnWuH7MU 2016/07/27(水)04:53:05 ID:24O
>>42
画像に関してはごめん、準備期間はあんまり映えるような写真がないっていうのと、出発前の散歩の時間は特に写真撮る余裕が全然なかったんだ
でもやっぱり写真はあったほうがいいと思うから、多少時系列や地理的座標が違っててもあげることにする!

つづき
さて、次の日

昨日から餌をやっていたおかげで、少しモカとの距離が縮まったようで、一人で頭絡(頭につけてる赤いベルト)を付けたり外したりできるようになった。(今までは頭に手を近づけただけで強く拒絶されていた。)

散歩も、2kmほど歩いたけど1回しか興奮せず、昨日の反抗的な態度は何だったのかというくらいおとなしかった。

この調子で仲良くなっていけば、最大の難関であると予想してる荷車の接続も難なく行えるかもしれない。

ただ、モカは噛むのが好きなようで、隙あらばおれの首を噛もうとしてたから、とりあえず最初はミニバケツを口にかぶせることにした。


さて、モカに関することがある程度落ち着いたから、次は荷車について考えないといけない。

おれが寝ることができるくらいの大きさで、それとは別に荷物も収納できて、モカが引きやすいようにできるだけ軽い荷車を手に入れないといけなかった。

ただ、情報収集の結果、現代のモロッコにそんな荷車はもうほとんど残っていないことが分かった。
モロッコでは6、7年前まではロバや馬に荷車を引かせるのが一般的だったらしいけど、今はトラックやバイクに完全に取って代わったらしく、ロバの利用方法としては、今では背中に直接荷物を載せて運ばせる扱い方しかされていないらしかった。

というわけで中古の荷車の購入に関しては絶望的だった。
でも、この程度で冒険に対して溢れ出すおれの気概がなくなったりはしない。


中古のものがないならどうすればいいか。


そう、作ればいい!!!

というわけでこの日から、おれと宿の主人(日曜大工が趣味)、そして町の鉄鍛冶屋や木工職人たちによる荷車づくりが始まった。

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46: 名無しさん@おーぷん 2016/07/27(水)17:55:29 ID:Iyr
治安とかどうなん?

48: 1◆jHsnWuH7MU 2016/07/27(水)19:35:07 ID:24O
>>46
画像は外務省の海外安全ホームページの情報
モロッコではここ5年、外国人を対象にしたテロや誘拐事件は起こってない。
ちなみにモロッコの治安に関して一番たくさん外国人向けの情報を持ってるのは在モロッコフランス大使館なんだけど、そこの安全情報でも国境以外は注意してれば大丈夫って書いてある。
超安全な国なんだぜ!
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つづき
まず、どんな荷車を作りたいかを考える。

本当は4輪の馬車のようなものにしたかったんだけど、ロバに引かせる場合バランスの問題と、モロッコの道路交通法に抵触することによる税金の支払い義務の懸念があった。
ほかにも、モロッコでこれまで使われていた荷車は全て2輪だったため、4輪よりも2輪のほうがいくらか目立ちにくく、より安全に旅ができるだろうと考えたということもある。

タイヤは、自転車のタイヤだと強度に問題があるし、車のタイヤだと大きすぎるのと値段も高くなってしまうため、バイクのタイヤを使用することにした。


荷車の長さは、あまり長いとモカが引きにくいということを考えて160cm、それに合わせて幅は80cmにした。
この長さだと寝るときに足がはみ出してしまうが、海外では基本的に野宿のおれにとっては大した問題じゃなかった。


そしてこの大きさだと、荷物の収納が難しくなるため、荷車を2層構造にして、下は荷物入れ、上は寝床という感じにした。

あとは、少しでも軽く作るため、金属を使うのは土台や屋根などのフレーム部分だけにして、あとは全て木で作ることにした。


さて、どんな荷車にするかが決まったので、早速町で鉄鍛冶屋をやっているアフマッドさんに事情を説明し、金属フレーム部分を作ってもらう。

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50: 1◆jHsnWuH7MU 2016/07/28(木)05:54:49 ID:iBK
つづき
出来上がったフレームにタイヤをつける。
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屋根の部分
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次は木材を購入し、金属フレームにうまくはめられるよう、また、釘と木工のりだけで十分な強度になるよう、木工職人に加工してもらう。
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屋根のフレーム写ってないけどこの時点でこんな感じ
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52: 名無しさん@おーぷん 2016/07/28(木)06:22:36 ID:irK
スレタイ見てネタかと思ったら本気だった

54: 1◆jHsnWuH7MU 2016/07/28(木)18:21:37 ID:iBK
>>52
ガチでやるから面白いんだぜw


つづき
とりあえずフレーム部分を数人がかりでモカに装着してみる
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ん、なんか曲がるときぎこちないな…

モカに接続してる棒の根元
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だめじゃねぇか!www

フレーム部分を鉄鍛冶屋のアフマッドのところにもう一度持って行って補強してもらう。

完成!
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次は上に乗せる木材の部分を木工のりと釘で組み立て、ペンキを塗っていく。
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屋根の部分は汚れてしまって使えないカーテンを譲ってもらった

装着!!!
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よし、これを引いてモカのところへ…
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全然だめじゃねぇか!!!www

軽トラ借りて鉄鍛冶屋のアフマッドのところに持っていく。
これでアフマッドの世話になるのは3回目だ。

アフマッドは職人なのでフランス語がほとんどしゃべれないが、さすがにこの頃にはかなり仲良くなってたw

おれ「アフマッド!!全然だめだったwww」
アフマッド「はは、なかなかうまくいかねぇな!
でもこの状態(木材の部分も乗った完全な状態)ならしっかり補強してやれると思うぜ?」

3度目の正直、というかもっかい全部町まで運ぶのは面倒なので、丸一日かけてやりすぎなぐらいしっかり補強してもらう

53: 名無しさん@おーぷん 2016/07/28(木)18:21:31 ID:LPA
荷馬車で寝泊まりかや・・・
知らないうちに賢狼ホロが潜り込んでたりして

57: 1◆jHsnWuH7MU 2016/07/28(木)23:18:58 ID:iBK
>>53
今度から荷車にりんご大量に入れとくか…

56: 名無しさん@おーぷん 2016/07/28(木)21:51:29 ID:Y4a
このスレやべーよ、頭のネジ飛んでるぜ

57: 1◆jHsnWuH7MU 2016/07/28(木)23:18:58 ID:iBK
>>56
褒め言葉ありがとうwww

そして完成!
あとあと補強したり改築したりするんだけど、これが一番最初旅に出たときの荷車だ。
ちなみにこのときペンキは近くにいた子供に塗ってもらったからこんなに乱れてるw
このクオリティでチップ要求とかおこがましいわwww
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寝床の下には荷物入れがある
奥には非常用のモカの食料が入ってる
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寝床はこんな感じ
右にある石は岩塩でモカのおやつだ
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最終的に荷車作成にかかった費用は大まかに以下の通りだ。

・材料費
・・・木材400DH、金属300DH、タイヤ250DH、布100DH、その他釘、金具、ペンキなど200DH
・職人の加工費
・・・木工100DH、金属200DH(初回)+100DH(2回目)+200DH(3回目)
・ペンキ塗ってくれた子どもへのチップ
 ・・・1DH

計1851DH(およそ19800円)

58: サテンドール◆s0.5DG7lIsK8 2016/07/28(木)23:31:04 ID:pVv
>>57
やっす!やっす!
物価ってこうも違うもんなんだなあ

59: 1◆jHsnWuH7MU 2016/07/29(金)06:33:02 ID:a1B
>>58
こっちでは家具もリヤカーも基本オーダーメイドで作るのが一般的なんだ。
日本だと考えられないよね

つづき
さて、これでロバの調教もそれなりに終わり、荷車も出来上がったから出発できるんだけど、最初にどの方向に向かうべきなのかについては実はまだ決まってなかった。
出発地点のティズギ村から行くことができるルートは以下の3つだった。

1、都会(ワルザザート)ルート
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・メリット
 なんでも手に入る
 人がいるから困ったとき助けてもらいやすい

・デメリット
 モロッコの街中は日本の地方都市並みに発展してるから、自動車や人々とモカや荷車がぶつかった場合めんどうなことになる可能性がかなりある。
 モカを一時的にどこかにつないでおくことが難しい。


2、砂漠(メルズーガ)ルート
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・メリット
 砂漠好きで、いつかサハラ砂漠を横断したいおれとしてはかなり行きたい場所
 ※水源が十分にあることは確認済み
 ※最初にこのルートを選ばなかった場合、その後モカを連れて砂漠に行くのはかなり難しくなる

・デメリット
 暑さによってモカが弱ってしまう可能性がある。もちろんおれも。
 砂漠に行った後は引き返すか都会ルートを選択するかの2択。


3、山(イミルシル)ルート
no title


・メリット
 イミルシルは湖と豊かな緑があり、モカにとってはこの上なく最高の環境。
 道中車がほとんど通らないので、面倒に巻き込まれるリスクが少ない。

・デメリット
 モロッコ一標高が高いと言われている村(アグダル)を経由しないといけないため、かなり登り坂が多く、モカが荷車を引いて登れない可能性がある。
 人がほとんどおらず、携帯の電波も最も不安定なルートのため、緊急時に助けを求められない。

60: 名無しさん@おーぷん 2016/07/29(金)07:29:51 ID:1lS
大砂丘は見てみたいが ロバとリヤカーの相性が悪そう

72: 1◆jHsnWuH7MU 2016/07/29(金)21:13:22 ID:a1B
>>60
そうなんだよなぁ
砂漠にモカ連れて行った場合、荷車引いたモカじゃ砂丘歩けないんだよなぁ

61: サテンドール◆s0.5DG7lIsK8 2016/07/29(金)07:39:45 ID:qoQ
どのルートを選択するんだろう?
俺なら山ルートだけど主は砂漠ルートかな?

72: 1◆jHsnWuH7MU 2016/07/29(金)21:13:22 ID:a1B
>>61
どのルートも一長一短だから結構迷ったw

62: 名無しさん@おーぷん 2016/07/29(金)07:51:22 ID:dsu
モカくんかわいい

72: 1◆jHsnWuH7MU 2016/07/29(金)21:13:22 ID:a1B
>>62
めっちゃかわいいぜ!
写真は砂浴び(ラクダやロバがストレス発散のために行う行為)中のモカ
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73: 1◆jHsnWuH7MU 2016/07/29(金)21:32:57 ID:a1B
つづき
まずは都会ルートについて
人がたくさんいて、情報も食べ物も手に入りやすい状況は魅力的だけど、旅に出てまだ慣れてないうちに都会に出てしまうと、おれがモカを制御しきれず場合によっては損害賠償ものの大きな問題が起こるかもしれないと考えた。
だから、都会は行くとしてもできる限り後にすべきだと思ったから今回都会ルートはやめておくことにした。

残ったのは砂漠ルートと山ルートだ。
おれとしては両方とも捨てがたかったし、山ルートは険しく、砂漠ルートは暑いから両方ともかなりリスクのあるルートだった。
でも、最後に決め手となったのはどちらのルートがモカにとって幸せか、だった。

今回の冒険にしたって、おれはおれ自身のやりたいことをやってるだけだけど、モカはそれに付き合わされている形になってるわけだから、できる限りモカに配慮した冒険にすべきだと思った。

…というわけで、進むべきルートは山(イミルシル)ルートに決定!
それに伴って、終着点はモロッコ北端の港町、タンジェになった。
ちなみにもし山を登ることが不可能だった場合は引き返して砂漠ルートに切り替える予定だ。


これで出発準備がすべて整ったので、すぐに出発することにする。
本当はもっとしっかりテストと準備をしてから出発したかったんだけど、荷車やモカの場所の問題があったため、準備ができ次第出発することになった。
あまり詳しくは書きたくないけど、モロッコはご近所づきあいがかなりシビアな感じらしい。
飼っている犬や家畜が隣人によって毒殺された話はいくつか聞いた。

そんなわけで、準備がすべて整った次の日、朝4時半に起きてモカに大量の餌をやりに行く。
ちなみにモロッコは昼は暑すぎて、夜はもちろん暗すぎて移動できないから、早朝と夕方しか移動できない。

だから、明るくなったらすぐに出発することにして、餌を勢いよく食べるモカを見守る。

おれ「よっしゃ、頑張ろうぜ、モカ!!!」
モカ「…」モシャモシャ

ちなみに一日にモカが何km歩けるかわからなかった(散歩では最高3km/2時間)から、出発前のこのときは一日最高15km、平均でだいたい8km移動できればいいと考えていた。

次第に日が昇り、明るくなってくる。
たくさん食べたので1時間以上かかったが、朝6時頃にはモカの食事も終わっていた。

さぁ、気合い入れて出発だ!
まずはトドラ渓谷を超えて、山岳地帯へ!!!

かくしておれは、気性が荒く反抗的なモカと一緒に、モロッコ放浪の冒険を始めることになった。
no title

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おわり

74: 名無しさん@おーぷん 2016/07/29(金)21:34:28 ID:Qc7
打ちきりかよ

75: 1◆jHsnWuH7MU 2016/07/29(金)21:37:50 ID:a1B
>>74
いや、この先もまた書いていこうと思うんだけど、今まだ旅の途中だから内容が薄くなっちゃうんじゃないかなと思ってw

出発後に関しては数か月後に全部終わってからダイジェストで書いていったほうがいいよな?

87: 名無しさん@おーぷん 2016/07/30(土)19:07:57 ID:lDH
すげーなこのスレ主

88: 1◆jHsnWuH7MU 2016/07/30(土)23:21:21 ID:ctR
>>87
だんだんできることが増えてきたんだぜw


とりあえず出発後の話を書く前に簡単に経歴を書くことにする。
スレを読んでく上で参考にしてくれ。
質問があれば答える。

2010年
行方不明になった友達を探しにフィリピンに行く。これまでの海外経験は高校の研修旅行のみ。これが海外や冒険に興味を持つ最初のきっかけになる。

2012~2013年
大学を休学し、国内外問わず転々として経験を積む。
海外ではスラム街に入り浸り、ヒッチハイクや野宿などを繰り返して友達を作り、危機管理能力を高める。また、護身用にフィリピンの杖術(素手でも使え、相手の武器を奪い取ることに秀でた武術)もかじる。
国内では歌舞伎町や難波、祇園で客引き系の仕事をして交渉スキルを磨く。プログラミングのスキルを身に着けたのもこの頃。

2014年
大学に復学。ジムに通い、護身用にキックボクシングを始める。毎週5日~6日、3時間ほどひたすらサンドバッグを叩く。グローブとバンテージをつけていたが、手に一生ものの傷ができた。
空いた時間を利用して国内外の様々な場所へ行き、離島でサバイバルをしたり、地下水路をビニールボートで下ったりする。

2015年
大学を卒業。ラクダと一緒に旅をしようとするが、イスラム国の影響で砂漠が厳戒態勢であったため、ラクダの遊牧に切り替える。(前スレ参照)
海外ボランティアの一員として、2か月ほど訓練を受ける。内容は発展途上国で生き抜くために必要な教養やビジネス英語、サバイバル訓練や感染症への予防接種などだった。
本来はコンピュータ教師としてオセアニアの島国に派遣される予定であったが、もろもろの事情により派遣されることはなかった。

2016年
カメルーンの熱帯雨林の中でピグミー族と共に自給自足のサバイバル生活をする。基本的な食べ物はキャッサバで、たまに森でとれたネズミの肉や蜂蜜などが食べられた。飲み物は泥水しかなかった。(前スレ参照)

荷車を引いたロバと一緒に放浪の旅がしたいと考え、モロッコで実行に移す。
現在は第一の目的地であるイミルシルに滞在中で、天候などの条件が良ければ明日出発する予定。

89: サテンドール◆s0.5DG7lIsK8 2016/07/31(日)00:14:39 ID:mFj
>>88
お腹が痛いwww
お前さんは愛すべき馬鹿だ

93: 1◆jHsnWuH7MU 2016/07/31(日)06:46:27 ID:8Al
>>89
バカだけど愛してもらえて嬉しいぜwww

76: 名無しさん@おーぷん 2016/07/29(金)21:41:14 ID:rG1
そっか無事を祈るぜ 冒険が終わったらまたここに遊びに来てや



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2016/8/3 20:00

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